医学講義の雑談から ~恋と愛の違いについて~

こんにちは!

 

大学教官時代からの御縁で、地元の医療専門学校に依頼されて、二つの講義を受け持っています。一コマ90分間ずっと医学のことを話し続けると、生徒が飽きてしまうので時折雑談を挟むようにしています。医学にちなんだ郷土史や医療方言などの話題が多いのですが、先日は『恋と愛の違いについて』、話してみました。

 

主旨は『恋は一過性の病気のようなもので、必ず終わりがある(例:色恋沙汰など)。愛は無償の愛と言われるように、終わりがなく世代を超えて人々の心の中に残る』というものです。戦後世代は、「ご褒美の世代」とも言われますが、最近のさまざまな事件の多くは、人に見返り(ご褒美)を求めるけれどそれがないことへの不満が背景になっている気がします。無償とか無私の愛なら、見返りがなくても全く構わないわけで。。。恋と愛を区別できないことが、ストーカー行為や人を傷つける事件の遠因になっているかもしれません。俳優の大泉洋さんが、「自分は結婚に関して(相手が何かをしてくれるというような)期待をしていなかったから良かったと思う」とテレビで話していたのは至言だと思います。

 

生徒たちは、これまでの雑談の中で一番目を輝かせて聞いてくれましたが、19歳の彼らに役に立ったかどうか。。。少なくとも社会人になってセクハラ、パワハラ、ハニートラップ、美人局(つつもたせ)など、さまざまな事件や誘惑に巻き込まれないことを願って雑談をしました。また、学校の歴史ではあまり教えられていないようですが、史実としてナチスドイツが日独伊枢軸同盟を成立させるために、日本の在外公使館員にハニートラップを仕掛けた逸話は教訓になると思います。さらに豊後高田出身の戦国武将・高橋紹運(秀吉から日本一と評された立花宗茂の実父)の有名な話(婚約者が天然痘に罹って容姿が変わったために、彼女の実家が遠慮して破談にしたいと申し出たときにも約束を守り、仲睦まじい家庭を築いて生涯側室は持たなかったこと)をすると、生徒たちが感心した表情をしたことがとてもうれしかったです。一過性の色恋に動じない効果的な方法は、先人の歴史から学ぶことだと思います。

 

最後に、ある友人の体験談を雑談のオチとしました。『私の友人が中学時代に生まれて初めて女子からラブレターをもらいました。彼はシャイなので返事を出せずにそのままになったことがずっと気になっており、30年後の同窓会で「あの時返事を出さずにごめんね。」と謝ると、彼女は「何のこと?人違いでは。。。?』と言われたそうです。30年の歳月は長いですが、恋をした彼女から完璧に忘れられたエピソードです。彼女は認知症でないので、「恋=一過性の病気説」を裏付けるよい例かもしれません(爆笑)』。。。

 

                      (文:森本)