医学講義の雑談から② ~恋と愛の英語の違い~

米国西海岸のシアトル から車で3時間のところにあるカナダのバンクーバーです。美しい街でした(^^)
米国西海岸のシアトル から車で3時間のところにあるカナダのバンクーバーです。美しい街でした(^^)

 

 こんにちは!

 

 先日のブログ(講義の合間に、恋と愛の違いについて雑談した話)の続きです。

 

 普段あまり意識されていないかもしれませんが、結婚式で永遠を誓うのは「愛」であって、「恋」ではありません。また、「恋に落ちる」という言葉がありますが「愛に落ちる」とは言わないように、日本語で恋と愛は言葉で区別されています。

 

 ところが英語では「愛」と「恋」のいずれも『LOVE』という言葉が広く使われています。ただ英語のネイティブスピーカーも、「God's love」なら神様の愛、「Love affair」なら情事、というように前後の言葉や文脈から意味を区別しています。日本語でも何かを勧められたときに Yes と No の意味を両方持つ「いいです」という言葉があるのと少し似ているかもしれません。「いいです」は、その場の雰囲気や話し手の表情で意味が正反対になるので、日本語を学んでいる外国人にとって理解しにくい言葉のひとつだそうです。

 また、英語の『LOVE』は趣味や嗜好の意味でも使います。マクドナルドの宣伝文句で、「i'm lovin' it !(I'm loving it !) 」というのがありますが、love を現在進行形で使う口語では、「夢中」とか「はまっている」を意味します(中学高校の英文法のテストで書くと×かも)。余談ですが、米国で一番わかりにくかったのは現地の中高生の言葉でした。初対面では遠慮して話してくれますが、ある程度慣れてくると早口で若者言葉を連発するので、Cool!(すごい)と You bet!(もちろん)しか聞き取れなかったこともあります(^^;)。。。いずれにしても、恋と愛を言葉として区別している日本語と、多様な意味を持つ『Love』を文脈や場面で使い分けている英語の違いは興味深いですね。

 

 ところで「恋人」と「愛人」は現在の日本語では意味がまったく異なりますが、後者は時代の変遷に伴って不倫関係を暗示する意味合いが強くなった言葉だそうです。一方、「Lover」を英和辞典で引くと「恋人」と「愛人」が両方載っていますが、私が実際に聞いた中では、後者の意味合いが強かった印象でした。前者は口語でsteady や sweet heart (※恋人のほか、親友の意味もある)の方が日本語の「恋人」の意味に近いと思います。『場の空気を読むこと』は日本だけでなく、海外でも大事です。外国人の友達や親戚に「僕の彼女を紹介します!」と英語で話す場合に、不用意に「Lover」を使わない方が無難なのではと思います。

 

 以上、医学講義の雑談とはいえ、昭和生まれの私が恋と愛の話題をすることに当初はためらいがありましたが、関連した英語や歴史の話をすることで、19歳前後の平成生まれの生徒たちに少しでも勉強になり、将来くれぐれも事件や誘惑に巻き込まれないことを祈って、お話をしています。

 

 今日も良い一日をお過ごしください(^^)/ 

 

                       (文:森本)

 

(補遺)英語でも「affection」など日本語の『愛情』とほぼ同じ意味を持つ言葉もありますが、このエッセイでは一般に広く用いられている言葉『LOVE』を例にあげて説明しました。