トキハデパート本店のミュージックサイレン

上:トキハ本店、下:  ©OAB大分朝日放送
上:トキハ本店、下: ©OAB大分朝日放送

こんにちは。

 

先日、OAB大分朝日放送の『JOKER DX(ジョーカー・デラックス)』という深夜番組を病院で見ていたら、大分市トキハデパート本店の屋上にある「ミュージックサイレン」が紹介され、豊後遺産File No.73)に選定されていました。昭和29年(1954年)にトキハ屋上にミュージックサイレンが設置されて以来、現在は2代目で、今も稼働している同型機は日本で2台しか残っていないという貴重な存在だそうです。当時のトキハ常務さんが『百貨店なら商品だけでなく文化も発信しよう』と、ミュージックサイレンを導入して以来、60年間以上に亘って毎日欠かさず流れているとのことでした。

 

そういえばトキハが開店する朝の10時や、正午、夜の午後7時に荘厳なパイプオルガンのような音色の曲が流れて、かなり遠くにいても聞こえますね。主旋律のサイレンが鳴る前と後に、オーケストラが弦楽器のチューニングをするような音が聞こえる風景は、子供のころから慣れ親しんできた深い記憶であることに改めて気づかされました。。。

 

ミュージックサイレンの歴史を調べてみると、昭和25年(1950年)に静岡県浜松市の日本楽器製造(現 ヤマハ株式会社)が開発したもので、『戦時中の空襲警報のような単調なサイレンをもっと音楽的なものにして、人の心を和らげたい』という目的で作られたそうです。ミュージックサイレンは、円筒形の容器の中にある内部ドラムが回転して、圧縮された空気を内部ドラムと外部のカバーの穴が重なった時に放出するときに音が発生する仕組みになっています。(※私がオーケストラのチューニングみたいな音と思っていたのは、内部ドラムを回転させるモーターの音でした^^;)。音の高さはドラムの回転数とカバーの穴の数で決まり、音程の異なるドラムを複数設置(トキハのサイレンは10台)することで、さまざまな音を奏でることが可能になっているそうです。

 

現在もミュージックサイレンが稼働しているのは大分のトキハのほか、岡山県庁、伊賀市役所、宇和島城、愛媛県八幡浜市の愛宕山の時報塔など、全国的にも希少な存在になっているそうです。長年親しまれていた福岡県大牟田市の松屋デパートや宮城県仙台市の丸光デパートなどでは、平成になって老朽化や閉店でミュージックサイレンが廃止されたそうで、仙台や大牟田に住んでいる方が大分を訪問された際にトキハのサイレンを聞いてとても懐かしい気持ちになるそうです。(※仙台丸光デパートでは、仙台出身の土井晩翠が作詞した『荒城の月(滝廉太郎作曲)』のメロディが街の風物詩だったそうです。)

 

戦後間もないころから、今も鳴り続いているトキハのミュージックサイレンは貴重ですね。有名な『青い鳥』の話(メーテルリンク作)のように、普段は身近すぎてあまり意識されないけれど、大分県民にはとても大切な存在だと思いました。

 

                      (文:森本)

 

(参考サイト)

OAB大分朝日放送 『JOKER DX』wikipedia (←※豊後遺産(File No.52)に、みえ記念病院版 大分医療方言集が選定されています)

47ニュース『平和のサイレン 新年も響いて』中日新聞 2014年12月31日

岡山県立図書館『岡山県庁のミュージックサイレンについて』

仙台市立図書館Q&A『昔駅前にあった丸光デパートのミュージックサイレンは

 いつ始まって、いつ終わったのか知りたい』

松屋が刻んだ時~ミュージックサイレンの再現に関する研究~

 

伊賀市役所のミュージックサイレン(youtube動画)(←※トキハのミュージックサイレンの音色と似ています。曲は『家路(ドボルザークの新世界より)』です。