腫瘍マーカーについて

こんにちは。今日は腫瘍マーカーについて書きます。

腫瘍マーカーは血液や分泌液中にあり、悪性腫瘍を強く疑う際の補助診断の1つです。多くの腫瘍マーカーは、それだけでは癌の早期発見のための確実な指標とはなっていません。

しかし、PSA(前立腺特異抗原)は臓器特異性(どこに癌ができたかを特定できること)が高く、50歳代以降男性で増加する前立腺癌の早期発見に役立ちます。

いずれの腫瘍マーカーも悪性腫瘍のみでなく、急性・慢性炎症や良性疾患等で上昇、すなわち偽陽性となることがあります。ですから、腫瘍マーカーのみでの癌の診断はできず、病理検査での確認が必要です。数値のみに振り回されないことが、常に大切です。

腫瘍マーカーの値や種類は、腫瘍の進行で変わるので、手術前の進行度の予測や治療の評価、再発の早期発見に役立つといわれています。

代表的腫瘍マーカーにCEA、AFP、CA19-9があります。

 

CEAは臓器特異性は低いですが、頻度の高い癌の多くが高値となり、癌のスクリーニング(ふるい分け)として役立ちます。一方、肝硬変、糖尿病、高齢者、高度の喫煙でも偽陽性となります。

 

AFPは肝炎、中でもC型肝炎から肝硬変、肝細胞癌へと進む肝細胞癌に特異性の高い腫瘍マーカーの1つです。他に乳児肝炎、慢性肝炎、肝硬変、妊娠等で偽陽性となります。

 

CA19-9は消化器癌、特に膵臓癌や胆道癌で高値となります。症状が出にくく、発見困難な膵臓癌の腫瘍マーカー1つです。ですが、胆石症、膵炎、肝炎、肝硬変、気管支拡張症等でも偽陽性となります。一方、偽陰性となるケースもあります。

 

以上の理由から、診察、CT等などの画像で悪性腫瘍が強く疑われた場合のみ、腫瘍マーカーを参考にするよう保険診療では求められています。

                        (文:検査技師 Y)